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タイトル 【2000年 6月県議会】代表質問(00/06/30) タイトル

 日本共産党を代表して質問いたします。
 まず最初に、知事の政治姿勢について、今回の選挙に関連して伺います。今度の選挙は過去最悪の失業率、激増する倒産、高まる将来不安、さらには空前の財政危機、自民党政治の深刻な行き詰まりをどう打開するのか、これが問われた選挙でした。選挙戦の結果は、自公保連立与党が過半数は維持したものの、改選時に比べて65議席を失うという大幅後退になりました。これは自公保政権と自民党政治に対する国民の厳しい審判が下されたことを示すものです。
 今度の選挙の重要な争点の一つは、消費税の増税問題でした。自民党や公明党は最後まで隠し通したかったようですが、政府税調の加藤寛会長は既に新聞や雑誌で、景気回復後税率を10%にすること、将来的にはイチゴ15%への引き上げは避けられないと語り、これを7月の中期答申に盛り込むことを言明していました。論戦が進む中で公明党の神崎代表も、テレビ番組で2004年までに消費税の引き上げもせざるを得ないと語りました。消費税は既に現行の5%でも12兆3千億円で法人税の9兆9千億円を超えています。10%への増税なら25兆円で所得税をも上回る最大の税金になることは間違いありません。所得が低いほど負担が重い逆進性の強い消費税が、加藤税調会長の主張するような国の最も中心的な税、基幹税になれば、大企業や高額所得者にとってはありがたいことかもしれませんが、一般庶民にとっては大変つらい税金の国になるということだと思いますが、知事はどうお考えか、まずお答えください。
 言うまでもなく95年の5%への増税が、当時回復しかかっていた景気を大きく冷やし、今日の深刻な不況の要因になりました。増税が県内経済や県民生活にどんな影響をもたらすとお考えか。県民生活に責任を負う知事として、国会での議論を見守るだけでは済まないと思いますが、お答えください。
 今度の選挙では、この深刻な不況をどう打開していくのか、景気対策も大きな争点の一つでした。選挙戦のさなか、政府は、企業部門を中心に自律的回復に向けた動きが徐々に強まってきているとの月例経済報告を発表しましたが、庶民の実感からはかけ離れたものでした。報告でも認めていたように、企業収益だけは改善したものの、景気回復のかぎ、経済の6割を占める個人消費が温まらず、冷え切ったままだからです。
 なぜ個人消費が改善しないのか。一つには、企業収益が増加すれば、個人所得がふえ、消費もふえるという本来の経済の循環をかつてない大企業のリストラ、人減らしが断ち切ってしまっているからです。空前の失業と所得の低迷が消費回復の重しになっています。同時に、老後などの将来不安が財布のひもをかたく締めさせていることです。年金改悪や医療、介護の負担増が将来不安を増大させています。
 知事、私どもは景気を本格的な回復軌道に乗せるためには、家計を温め、消費を拡大すること、そのために国民が信頼できるような社会保障の拡充と雇用危機の打開がどうしても不可欠だと思うのですが、どうでしょうか。知事の御所見を伺います。
 私どもは、社会保障の切り捨てと国民負担の増大の背景に国の負担割合の引き下げがあること、その大もとに公共事業に50兆円、社会保障に20兆円というヨーロッパの同じ資本主義諸国とは逆立ちした予算の使い方があることを指摘してまいりました。県財政が今破綻に瀕し、そのツケが県民サービスの切り捨てに向けられているのも、国と歩調を合わせ公共事業を予算の主役にしてきた、その結果であります。
 日本共産党は、その逆立ちを正す提案をしてきました。そうすることによって、財政再建に踏み出しながら社会保障や暮しを守る仕事をしっかりと進められるからです。また、大企業の身勝手なリストラを野放しにせず、法的に規制すること、労働時間の短縮やサービス残業の根絶によって雇用を拡大することを訴えてきました。知事、今こそ地方からこうした財政運営の抜本的転換と本格的な雇用対策の声を上げていくべきだと思うのですが、どうでしょうか。また、千葉県としても、その方向での最大限の努力が求められていると思うのですが、知事の御所見をお聞かせください。
 大企業のリストラを支援し、大手ゼネコン向けの公共事業一本やりで借金をふやし、後は消費税の増税で穴埋めしようなどという連立与党の政治では、国民の暮らしは一層つらいものとなり、景気も財政も共倒れになることを強く指摘するものです。
 さて、今度の総選挙では、政権与党の側がまともな政策論争は避けながら、日本共産党に対して、日本の選挙史上例を見ない謀略的な作戦を大々的に展開いたしました。発行人の名前もない、あるいは架空の団体名を語って日本共産党へのデマを並べたビラが全国で約60種類、1億数千万枚の規模でまかれました。ある全国紙は、今度の選挙を汚したのは、出所不明、夜陰に紛れての共産党攻撃の謀略ビラの大量配布であると書きました。こうした謀略は、日本の民主主義を根底から危うくし、その悪質さは金権選挙にまさるとも劣らないものです。我が党は民主主義の名において、この卑劣な犯罪行為を断固糾弾し、これを日本の政治から一掃するために全力を尽くすものであります。
 次に、介護保険について伺います。
 知事は大きな問題もなく、各地域でおおむね順調との認識を示されましたが、実際はどうか。制度スタート後3カ月がたち、深刻な実態や制度の問題点があちこちで浮かび上がってきています。
 まず、第一に指摘したいのは、重い利用料負担のため、これまでの介護サービスさえ受けられなくなるという深刻な事態が起こっていることです。ホームヘルプサービスは今まで8割以上の方が無料でしたが、今度は身体介護が1時間弱で約400円に、訪問看護は時間に関係なく1回250円であったものが、1時間弱で約830円、さらにデイサービスも500円前後だったものが、食材費を含めて1,200円から1,500円となり、すべての利用料単価が大幅に引き上げられました。その結果、日本共産党国会議員団がこの4月に行った緊急調査では、ケアプランを作成した4,325人のうち、利用料負担などの経済的困難からこれまでのサービス水準を後退させた方は、実に15.3%に上っています。
 県内でも、例えば、私がお話を伺ったある方は、78歳の痴呆症の妻を81歳の夫が介護していて、妻の介護度は5。3月までは朝夕毎日巡回型ヘルパーに来てもらい、デイサービスは週3回、訪問看護やリハビリも毎週利用し、自己負担は1万円だった。ところが、4月からはこれまでどおりのサービスだと、限度額35万8300円を大きく上回り、45万円となってしまうため、利用料の10%と自己負担分で合わせて12万7530円。つまり、今までの13倍近くもかかってしまう。結局は、訪問リハビリはゼロに、巡回ヘルパーも訪問看護も半分にと、サービスを大幅に削ってしまったが、やっぱり介護の負担が夫にのしかかり、もうやっていけない、お金も体力もぎりぎりまで追い詰められているというお話でした。現に、実際サービスを削ったためにぐあいが悪くなって入院という例が幾つもあります、知事、重い利用料負担のため、介護も暮らしも切り詰めて、これまでのサービスさえ受けられない深刻な事態が起きています。どう認識しているのか。
 また、現に深刻な事態だからこそ、県内11市町村で利用料の軽減措置が始まっています。当然、県としても助成をすべきではないですか。また、国はホームヘルプサービスをこれまで受けていた低所得者に限って、10%の利用料を3年間に限り3%にするという軽減措置を講じていますが、全く不十分です。4月からの新規利用者も含めて、ホームヘルプだけでなく、すべての在宅サービスに対して利用料の3%軽減措置を講じるよう、県として国に求めるべきではありませんか、お答えください。
 第二に指摘したいのは、基盤整備のおくれ、とりわけ特別養護老人ホームの建設のおくれです。2月1日、県当局発表の特別養護老人ホームの入所希望者は県全体で463人、そのうち私の住む松戸市は、県の数字では4人でしたが、松戸市の調査では、現在希望しているが入れない方は123人、近隣の市川、浦安、船橋でも同様の事態が起きています。
 県はこれまで特養ホームの実質的待機者については、療養型病床群への入所も可能となることから、必要数は確保できるとしてきました。ところが、頼みの療養型病床群のベッドの確保でさえ、いまだ目標の4割です。介護保険が始まったというのに、これほど不足しているのは大問題です。特別養護老人ホームの入所希望者は今現在何人か。国と一緒に建設を抑えてきた県の責任は重大です。特別養護老人ホームの整備拡充に全力を挙げるべきですが、どうか、お答えください。
 今県内の特別養護老人ホームからは、国からの介護報酬だけではとてもやっていけない。ショートステイの利用不足、入院者が出た場合の収入減など、このままだと昨年より3千万から5千万も収入減になってしまう。職員の人減らしや給与カットが避けられず、介護力の低下が心配という悲鳴が上がっています。知事、今年度は県単独の運営費補助金が昨年度より大幅に削減されています。少なくとも来年度はさらなる削減は中止すべきですが、どうでしょうか。
 知事、このように高過ぎる利用料、基盤整備のおくれ、施設の収入減など、次々と深刻な実態が浮かび上がっているのに、県当局が、市町村からも問題は上がってこない、おおむね順調と言っているのは余りに無責任ではありませんか。問題なのは、介護保険実施に伴い、行政の責任で実態を把握する仕組みがなくなったことです。昨年、事業計画作成のときには毎週のように市町村に報告を求めていたのに、4月以降、県独自の実態調査は何一つ行われていません。
 行政がタッチするのは要介護認定と保険証の発行までで、認定後はケアプランの作成も事業者との契約もすべてケアマネジャー任せ。これまで自治体の義務であった特別養護老人ホームの入所希望者の掌握も民間任せ。国も県も公的責任を次々と後退させて民間任せにしていくことによって、サービス提供の責任も、介護現場の実態把握の仕組みもなくなってしまった。民間事業者の撤退や事業縮小も野放しです。21世紀に向けて日本の福祉がこんなことでよいのでしょうか。
 知事、問題は山積みです。早急に県としての実態把握の仕組みをつくるべきです。お答えください。
 介護保険の最後に、10月から徴収予定の65歳以上の保険料について伺います。利用料の軽減措置も全く不十分。かつ基盤整備も大きくおくれた状況のまま、10月から保険料を徴収するなど許されません。まさに保険あって介護なしではありませんか。保険料徴収は中止するよう国に要望すべきですが、どうですか。
 そして、財政負担は高齢者に対してではなく、国に求めるべきです。そもそもなぜこんなに問題だらけの介護保険制度になったのかといえば、国がこれまで介護事業で負担していた予算を2500億円も減らしたからです。介護保険は世紀の大事業と言いながら、財政負担は大幅に減らすなど許されません。知事、暮らし、福祉を予算の主役に切り換えて、国が減らした財政負担をもとに戻すよう、県として強く要望すべきですが、どうか、お聞かせください。
 次に、環境問題について2点。
 一つは、残土条例についてです。県が残土条例に基づいて処分場の設置を許可するに当たっては、地元市町村の同意を得てからにしてほしい、また住民が地下水を飲み水にしている場所や水源地域には設置を認めないでほしい、こうした住民団体や市町村、日本共産党の一貫した要求の中で、県がようやく条例の見直しを約束したのは昨年12月議会のことでした。ところが、それから半年、いまだ条例本体には何一つ手をつけないまま、県が相変わらず処分場の許可をどんどんおろし続けているのは、県民と議会に対する許しがたい背信行為であります。こんなことがまかり通ってよいのでしょうか。最初に知事の認識を伺います。
 2月18日、山武郡町村会が県に提出した条例改正の要望書では湧水地、いわゆる水源地及び急傾斜地は許可対象から外してほしいと立地規制の要望が明記されていました。知事の2月議会の答弁でも、立地規制は市町村の要望を聞きながら検討すると明言しているではありませんか。なぜ答弁に責任を持たないのですか。いつまでに条例改正に踏み切るのか、今度こそ明確に答えてください。
 5月17日に県が許可をおろした市原市上高根地区の処分場も、地域住民が強く反対してきた最大の理由は、計画地周辺の1千戸が地下水を飲み水に使っているからでした。地域の町会ぐるみの反対運動が広がり、県との交渉を何度も重ね、繰り返して県に念を押し、市原市長も再三にわたって地元との協議が調わないうちは許可しないでほしいと県に要請をしていました。その都度言を左右にしてあいまいな表現をとり続けていた県が、1万5千名もの反対署名が提出されたわずか1カ月後に、抜き打ち的許可をおろすというのは何というやり方でしょうか。これでは地方分権も住民自治もあったものではありません。県は許可をおろした理由として、業者が6月1日から施行される県の指導指針を守りますという確約書を提出したからだとしています。しかし、県が条例改正にかわる当座の便法として定めたこの指導指針は、業者に対して市町村長や地域住民から協定締結の申し出があったときは協定の締結に努めなければならないと、単に努力目標を示しただけのものでしかありません。これでどうして住民の不安が解消されるでしょうか。地下水汚染は心配ないと約束できるのですか。残土を満載して狭い通学路を行き交うダンプから子供たちの安全は守れると約束できるのですか。はっきりとお答えいただきたい。
 私はこういうやり方では、県の環境行政は県民の信頼を失うばかりだと思います。こんな理不尽な許可は直ちに取り消すべきです。少なくとも確約書のとおり、協定の締結が履行されないうちは着工は絶対に許さないと約束していただきたい。
 環境問題の二つ目は、銚子、海上、東庄の1市2町にまたがる産廃処分場の計画です。海上町の住民投票で98%の方が建設反対を表明したこの計画について、設置を不許可とした県の処分を厚生省が取り消す決定を下したことで、問題は振り出しに戻りました。厚生省のこの決定がいかに不当きわまるものか、申すまでもありません。銚子市の水道水源である忍川の汚染を心配する地元自治体に対して、業者が処分場の排水は川には流しませんと約束し、その裏づけとして排水を蒸発させる装置の設置を打ち出しましたが、その蒸発能力は業者の宣伝よりはるかに小さなものでしかないことが判明したのですから、それでは許可するわけにはゆかないと県が判断したのは当然です。これに対して、処分場の設置に蒸発散装置などそもそも必要ないなどという厚生省の頭ごなしの言い分が、いかに地方自治体の努力を踏みつけにするものか、私は怒りを抑えることができません。
 そこで、以下質問いたします。
 第一に、産業廃棄物処理法第15条の2は、知事が産廃処分場の許可権限を行使するに当たって、周辺地域の生活環境の保全について適正な配慮がなされたものでなければ許可してはならないことを定めています。国が蒸発散装置を必要ないと断定した今、知事は改めて法律の原点に立ち返って、この処分場計画が周辺地域の生活環境の保全と本当に両立し得るものかどうかを第一歩から厳格に審査し直す必要があります。この見地からの審査が進んでいるのかどうか、現在の審査状況を具体的に説明してください。
 第二に、周辺地域の生活環境の保全となれば、当然、特定地域への産廃処分場施設の集中による弊害の問題を避けては通れません。不法投棄に苦しむ海上町の方々は、処分場がふえるとそれにつれて不法投棄もふえると異口同音に語っています。正規の処分場ができれば不法投棄はなくなるという県の言い分とは全く逆だというのです。これ以上の処分場の設置は地域の許容限度を超え、生活環境の保全と矛盾することにならざるを得ない。この現実を法律の趣旨に即して直視すべきですが、どうでしょうか。
 第三に、厚生省は施設からの排水は総理府令で定めた水質基準を満たすから川に流しても安全だとしていますが、この総理府令は1971年に制定されたもので、ダイオキシンや環境ホルモンの基準もない時代おくれのものです。ことし1月施行のダイオキシン類対策特別措置法では、産廃処分場の排水についても厳しい基準を定めています。振り出しに戻って審査し直す以上、当然、この新しい法律への適合が求められるはずです。流す先は水道水源の川ですよ。古い基準だけの判断で排水を流したりしたら、取り返しがつかないことになると考えますが、知事の見解を伺います。
 第四に、処分場計画地内にある県有地は、売却も貸与もしないと県が一言言明すれば、それでこの問題は一気に解決に向かいます。だれにも遠慮が要らない。知事の決断一つです。速やかに意思表明をしていただきたい。
 去る5月30日、1市2町の自治体の長と議会議長、農業委員会会長の連名で、知事と県議会議長に対し、迅速な審査と再度の不許可決定を求める要請が提出されました。6月1日には住民運動の皆さんが重ねて環境部への申し入れを行いました。私は改めて知事がこの地域の声を尊重し、地方自治擁護の立場で処分場の不許可決定を早急に下すよう強く主張するものです。
 次に、児童福祉について伺います。
 日本共産党県議団は、この間、一連の児童福祉施設を視察し、懇談を重ねてまいりました。児童に関するさまざまな相談に応じ、必要な指導や一時的な保護を行う児童相談所、この児童相談所の措置決定に基づいて、親が何らかの理由によって養育ができない2歳未満の幼児を養育する乳児院、2歳以上の子供を入所させる児童養護施設、不良行為への対処など生活指導が必要な児童を入所させる児童自立支援施設などです。
 私は県立乳児院で児童虐待のため頭蓋骨陥没、意識不明のまま運ばれてきた女の赤ちゃんや、網膜剥離で片方の目が見えない男の赤ちゃんの様子をつぶさに見聞きし、胸が痛みました。辛うじて回復し、保育士さんの腕に抱かれている赤ちゃんの笑顔を見たとき、どの子にも二度とこんな思いをさせてはならないと実感いたしました。
 県内で虐待による児童相談所への相談処理件数は、昨年度239件となり、6年前の9倍に急増。私の住む松戸市を含む柏児童相談所は、そのうち101件と県全体の42%を占めています。しかも、県警の報告では、昨年からことし3月にかけて虐待による死亡事件が全県で6件も発生するなど、まさに異常事態です。さきの国会では全会一致で児童虐待防止法が成立し、国や県に対して児童虐待の防止のために必要な体制の整備や児童相談所など関係機関の職員の人材確保及び資質の向上を求めました。県が果たすべき役割は極めて重いと言わなければなりません。それにふさわしい対応になっているのかどうか、以下、具体的に質問いたします。
 第一は、民間の児童養護施設恩寵園の問題です。恩寵園における児童虐待の事実が匿名の電話で県に知らされてからことしで5年。長い年月にわたる子供たちのはかり知れない苦痛と犠牲の上に、ようやく園長初め園の人事が一新され、混乱を乗り越えて今再建への歩みが始まりました。子供たちの笑顔が広がる、児童養護施設本来の姿の回復を私は心から願うものです。
 ここで私が取り上げたいのは、なぜ解決に5年も要したのかという問題です。匿名電話に続いて、子供たちが逃げ出すという事態が起きても、さらに子供たちから知事に直接の訴えの手紙が届いても、有効な手が打たれない。県が改善勧告を出したのは、裁判所が県のやり方は違法だと判決を下し、警察の捜査が入ってようやくのことでした。しかも、園の側が施設の休園を決めると、子供たちの行く当てもないのにその場で県は休園を認めてしまい、国の強い指導であわてて撤回するという信じがたいことが続いたのです。
 そこで伺います。この一連の経過を通じて県は一体何を反省し、教訓としたのか。これは今後の児童福祉行政の全体につながることですので、明快にお答えいただきたい。
 なお、再建に向かった恩寵園への児童の措置再開、老朽施設の改善など具体的支援が必要だと思いますが、お考えを伺います。
 第二は、県立児童養護施設などの建物が老朽化し、職員配置も少な過ぎる問題です。私は県立富浦学園を視察いたしましたが、まず驚くのは建物の老朽化です。屋上からも、部屋のすき間からも雨漏りがひどく、水道管や非常階段はさびつき、一部破損し、廊下、扉、机も傷んでいました。子供たちは八人部屋で生活をしており、高校生もいるのにプライバシーへの配慮ができません。また、児童自立支援施設県立生実学校も、子供たちの寮にクーラーもなく、テレビも職員が苦労して廃品を修理して使っていました。県立富浦学園の職員体制はぎりぎりの配置で、とりわけ夜勤体制は81名の子供たちに職員はわずか5人、1人は事務室、2人は幼児22名の世話、残る2人で60名近い小・中・高校生を見るのですから、朝の登校前や急病への対応など、その忙しさは想像を超えるものでした。幾ら職員の皆さんの努力や熱意があっても、施設整備と職員体制の両面で、これは問題だと思いました。
 知事はこういう実態をご存じかどうか。また、これで子供たちの生活や権利が守られているとお考えかどうか伺います。せめて雨漏りのない、プライバシーにも配慮した建物にすること、備品の充実、職員配置の改善などを図る必要があると思いますが、どうでしょうか。
 第三は、児童相談所の問題です。県の児童相談所は県内5カ所で、発達相談、不登校、虐待などあらゆる児童相談を受け、まさに児童福祉のかなめを担っています。ところが、施設、職員配置のどちらを見ても問題だらけです。まず最初に、子供の遊び場もなく、一時保護所も定員いっぱいでとても保護できない実態にある市川児童相談所ですが、今の5カ年計画に改善計画が盛り込まれていながら、予算に計上されていないのはなぜなのか、どう検討されているのかお答えください。
 児童相談所の職員不足は深刻です。私は詳しくお話を伺いましたが、6年前と比べて相談件数は全体でほぼ2倍。児童虐待処理件数は9倍です。児童福祉司の指導件数も2万4千件から約4万件へと急増しました。ところが、児童福祉司の増員はたったの2名にすぎません。国基準では、千葉県の児童福祉司の定数は50人で、国からは50人分が交付税で財源措置されているのに、実際は35人しか配置されておりません。国基準より15人も少ないのは全国最悪です。その次が茨城県のマイナス10人というのですから、千葉県の異常ぶりがわかるではありませんか。これでは職員が幾ら頑張っても追いつきません。知事、なぜこんな状態を放置しているのですか。直ちに国基準並みにすべきです。お答えください。
 なお、児童相談所の数は、国の基準ではおおむね人口50万人に1カ所となっていますが、千葉県では100万人に1カ所となっており、著しい不足状態です。船橋などからは市内への設置を求める声が強く上がっています。せめて人口50万規模の都市、船橋市や松戸市などにぜひ設置していただきたい。知事の見解を求めます。
 この質問の最後に、私は県の児童福祉行政の根幹に子供の権利をいかに守るのかという理念をしっかりと位置づけることを強く求めるものです。例えば、東京都では「子どもの権利ノート」という冊子がつくられ、すべての児童養護施設などの子供たちに配られていますが、千葉県では名前も「施設生活の手引」となっており、権利という言葉は一つもありません。東京都では「家族に会う権利がある」と記述されていますが、千葉県では「家族に会いたいときは相談しよう」となっています。子供の権利に対する意識の希薄さが示されていると言えます。さきの恩寵園では、独自に「子供の権利宣言」を採択し、「こどもの権利ノート」が作成配布され、子供自治会が結成され、国連子どもの権利条約を中心にした取り組みが進んでいます。私は改めて知事に対し、子供の権利を明記した東京都並みの権利ノートを養護施設の子供たちに配布することを手始めに、この理念に照らした県行政の総点検を行うことを要求し、答弁を求めます。
 次に、教育問題について伺います。
 今月の5日、県内富里町で中学3年生の2学期から不登校がちで家庭内暴力が深刻であった息子さんを両親が殺害するという悲惨な事件が発生し、全国的にも大きな衝撃を与えました。県内では一昨年度全国最多となった学校でのいじめ、ふえ続ける不登校に加えて、最近中学校での暴力行為が後を絶たず、傷害事件にまで発展しています。少年犯罪も再び増加傾向に転じています。事態は深刻です。重大です。
 これらの大もとに一体何があるのか。私ども日本共産党は、汚職や腐敗など大人社会のゆがみの影響、野放しの性や暴力の表現など退廃文化の影響と同時に、とりわけ大きな問題として、受験中心の教育が子供たちの心に大きなゆがみをもたらしていることを指摘してまいりました。過度の競争的教育の中で周りはすべてライバルになり、劣等感や孤独な焦燥感の中で、子供たちの心が傷つけられています。
 日本の子供たちのこうした現状は、国際社会でも大きな問題となりました。98年、国連子どもの権利委員会は、日本政府に対し、高度に競争的な教育制度が児童に否定的な身体的、精神的影響を与えていると厳しく指摘し、過度なストレス及び登校拒否を予防するよう、適切な措置をとることという異例の勧告を発しました。受験中心の競争教育のゆがみを正すことが、もちろん千葉県を含めて教育行政の大きな課題だったはずです。
 ところが、実態はどうでしょうか。生徒数の減少が競争緩和の絶好の機会だったにもかかわらず、県は私立を含めた高校の募集定員をこの10年間で約2万人も減らし、意図的に受験競争を維持し続けてきました。さらに、来年度からは県立高校の学区を大幅に拡大し、競争激化に拍車をかけようとさえしています。子供たちの負担とストレス、県民の不安は増すばかりです。教育長、もうこれ以上、子供たちを追い詰めることは許されません。受験競争緩和に全力を尽くすべきです。せめて来年度は私立高校を含めて募集定員を減らすことのないよう強く求めるものですが、どうでしょうか、お答えください。
 競争教育のゆがみを正すことと同時に、もう一つ、教育行政に課せられた大きな課題は、一人一人の子供に寄り添った行き届いた教育ができるような条件整備です。ことし5月、文部省は初めて学級がうまく機能しない、いわゆる学級崩壊と言われる現象の実態調査について最終報告を発表いたしました。私は早速文部省に行ってまいりましたが、崩壊を単に教師の責任とはせず、広い視点でとらえていることや、クラスの人数が前年度に比べ40人近くに急増した学級で崩壊が起きやすいことが明らかにされるなど、全体として教育現場の深刻さに向き合った画期的な報告と私は受けとめました。
 報告は、いわゆる学級崩壊について早期の実態把握と早期対応を求め、関係機関は支援策を講じるよう強く求めていますが、驚いたことに県教委は、私が問い合わせたにもかかわらず、昨年度の実態すらつかんでいませんでした。実態はどうなっているのか。それで、一体どんな支援策を講ずるつもりなのか、教育長の明確な答弁を求めます。
 さまざまな困難が噴き出している学校現場で一人でも多くの教員が必要なときに、県はこの3年間、定員適正化などと称して、逆に教員定数の削減を急ピッチで進めてきました。ここでもやることが逆さまであります。その結果、どんなことが起こっているか。正規の教員が足りなくなって、4月のスタートから学級担任に欠員講師を充てなければならない事態が急増しています。昨年度も、ことしも70クラス以上で正規教員を配置できませんでした。
 教育長、これは異常な事態ではありませんか。お答えいただきたい。教員の削減計画は中止をし、凍結をし、増員をこそ検討すべきです。お答えください。
 教育現場でのさまざまな困難解決のために、少人数学級の実現は焦眉の課題です。文部省はこの5月、学級編制及び教職員配置についての協力者会議の報告を受け、1クラス40人の標準法の縛りを外し、都道府県の裁量で少人数学級も可能とする方針を明らかにしました。少人数学級実現への国の責任回避は許されませんが、しかし、教育長が再三標準法の40人という縛りがあるからと県独自の実施を拒否してきた、その縛りは晴れてなくなります。全会一致の少人数学級の早期実現を求める決議は、昨年の2月議会でした。昨年6月議会で、知事は我が党の代表質問に対して、決議は重く受けとめている、なるべく早く対応すると答弁されました。
 知事、もうこれ以上の先送りは許されません。少人数学級の実現に今こそ踏み出すべきだと思いますが、お答えください。
 最後に、公共事業のあり方について質問をいたします。
 東京湾アクアラインの赤字を京葉道路や千葉東金道路の利用者につけ回すプール会計の導入について、日本共産党は反対であることをさきに表明いたしました。この質疑を通して、沼田知事御自身は最後まで答弁に立たれませんでした。しかし、アクアラインが計画段階にあった当初から、事業の見通しについての我が党の繰り返しの警告に対し、知事は採算性については十分償還できると述べ、予測交通量についても道路公団が適正に推計したと答え、一貫して県民への負担転嫁はあり得ないことを言明してきました。この議会答弁に明らかに反する事態を迎えた今、その責任はどうなるのか。知事の所見を伺いたいと思います。あわせてアクアラインへのこれ以上の県費投入はない、京葉道路などの料金引き上げはない、はっきりと約束できるのか、お答えください。
 ゼネコンや大銀行が自治体を巻き込んで第三セクターをつくり、高い金利の資金調達で事業費を膨らませ、銀行とゼネコンを潤したそのツケは、県民、国民が負担をする。事業の採算性も必要性も度外視した公共事業の浪費構造の典型がここに示されています。しかも、浪費の構造は巨大事業だけに限った話ではありません。
 その一つが、私ども日本共産党県議団も現地を視察した勝浦市松野バイパスです。市原市と勝浦市を結ぶ国道297号の松野地区に全長6.7キロメートル、総事業費何と190億円ものお金をかけてバイパスを整備するというのです。
 問題は、地域住民が利便性の点から、また道路を地域の発展につなげる立場から、平面道路にしてほしいと繰り返し求めたにもかかわらず、なぜ5メートルも6メートルも土を盛り上げて、その上に車を走らせる、いわゆる高盛り道路にしたのかということです。県は4分の時間短縮になると言いますが、わずか4分短縮のためにどういうことになったか。平面道路なら9メートルの幅員で済むものが、57.5メートルと6倍以上に広がり、広大な用地買収が必要となりました。盛り土に必要な土の量は何と51万立方メートル、10トンダンプで9万2千台です。平面道路なら全く必要のない側道を高盛り道路の両側に整備することになりました。
 高盛り道路の事業費がどんなに割高であるか。同じ大原土木事務所管内で計画されている国道465号の新田野苅谷バイパスは、高盛り道路でなく平面道路です。事業費を比較すると一キロメートル当たり平面道路の5億9千万円に対して、高盛り道路は17億8千万円、実に3倍にもはね上がっています。仮に松野バイパスを平面道路にした場合、事業費はどうなるのか。私どもの試算では70億円の節約になると推計されます。住民も望んでいないし、しかも事業費は大きくかさむ。一体高盛り道路をつくる必要がどこにあるのか。平面道路に変更すべきではありませんか。お答えください。
 建設省でさえ、今公共工事コスト縮減対策を進めており、計画や設計手法の見直しを指摘しています。具体的には、必要以上に華美、過大な計画になっていないか。最適な構造形式、施工方法などを選定するために、比較設計をさらに充実することなどを求めています。県財政が厳しい中、事業費軽減の観点から、当然、松野バイパスを平面道路で整備した場合との比較を行ったはずですが、結果はどうであったかお示しください。
 日本共産党は一貫して公共事業を生活密着型へ転換するよう訴えてきました。公共事業は住民の要求から出発し、住民の暮らしに役立つものでなければなりません。間違っても事業を請け負う企業の利益で動かされてはなりませんし、いささかのむだも浪費も許されないことを改めて指摘するものです。
 以上で第1回目の質問を終わりといたします。(拍手)

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